【プレスリリース】シュプリンガーネイチャーによる最新の転換契約：世界的なオープンアクセスへの移行に向けた重要な一歩
JULACとグレーターチャイナ（大中華圏）地域初にして最大規模の転換契約を締結
ロンドン｜ベルリン｜ニューヨーク 2023年10月19日
シュプリンガーネイチャーは香港において、Joint University Librarians Advisory Committee（JULAC）に加盟するすべての図書館と転換契約（TA；Transformative Agreement）を締結しました。今回の契約は、当出版社がこの重要な地域において初めて締結した転換契約であり、年間700報以上のオープンアクセス（OA；Open Access）論文の出版をカバーする同地域最大規模の転換契約となります。研究成果の創出において中国が世界をリードする現在、本契約はOAへのグローバルな移行に向けた重要な一歩を刻むものとなります。
2024年1月1日に発効する今回の3カ年契約により、加盟機関の研究者は、シュプリンガーネイチャーが出版する1,900誌以上のハイブリッドジャーナルにOA論文を発表することが可能となります。当転換契約には、参加機関が購読してきたすべてのジャーナルへのアクセス権を維持するという条項が含まれており、香港の研究者は以下のようなメリットを得ることができます。
- 研究成果の国際的なビジビリティーの向上：ダウンロード数が非OAコンテンツの最大6倍に増加1
- OAがもたらす被引用数の増加とエンゲージメントの強化2
- OAコンテンツのグローバルリーチの拡大にともなう相互協力研究の増加とグローバル研究の推進
シュプリンガーネイチャーのChief Commercial OfficerであるCarolyn Honour（キャロリン・オナー）は、次のように述べています。
「研究を公開することにより、論文著者はリーチとインパクトを強化するだけではなく、社会とのエンゲージメントを最大限に高めることもできます。すなわち、政策立案者などが研究を利用し、世界が直面している最大の課題の一部の解決に役立てることが可能となります。この重要な地域では、OAの採用が引き続き増加しています。今回の契約は、これまで以上にすべての人が価値の高い研究コンテンツに幅広くアクセスし、利用し、そして再利用することを可能にするものです。今回の転換契約を通じ、長年にわたるJULACとのパートナーシップをさらに強化し、香港の研究者がOAによるメリットを実感できる機会が生まれることを嬉しく思います」
JULAC Consortial Chairおよび、香港大学のCIO と University LibrarianであるFlora Ng氏は、さらに次のように述べています。
「今回の契約は、当地域内に限らず、オープンサイエンスを国際的に推進するうえでも重要な一歩を刻むものです。シュプリンガーネイチャーがオープンサイエンスの推進に向けて進めてきたすべての取り組み、特にOAへの移行を加速する転換契約を率先的に導入してきた先駆的な取り組みは称賛に値するものです。私たちは、これまでも非常に素晴らしい協力関係を続けてきており、JULACに対する同社の力強いサポートに感謝します。新たな出発点に立った今、オープンサイエンスに向けた次の旅路を、そして香港の研究者と加盟機関にまもなく与えることができるあらゆるメリットを心から楽しみにしています」
転換契約は、完全にオープンな環境への大規模な移行を進める最も持続可能で効果的な方法です。それにより、OAコンテンツの出版数が増えるだけではなく、購読コンテンツの利用も増やす効果が得られます。現在、シュプリンガーネイチャーでは転換契約を通じ、全世界の3,500以上の研究機関に所属する研究者によるOA出版をサポートしています。
当出版社の公約に関する詳細については、オープンリサーチのページをご覧ください。また、当社のOAポートフォリオのインパクトについては最新のOA報告書をご覧ください。
今回の転換契約には、JULACの全8メンバーが同意しています：
- The Chinese University of Hong Kong（香港中文大学）
- City University of Hong Kong（香港城市大学）
- The Education University of Hong Kong（香港教育大学）
- Hong Kong Baptist University（香港浸会大学）
- The Hong Kong Polytechnic University（香港理工大学）
- The Hong Kong University of Science and Technology（香港科技大学）
- Lingnan University（嶺南大学）
- The University of Hong Kong（香港大学）
注釈
[1] [プレスリリース] シュプリンガー・ネイチャーの新たな調査は「Going for Gold（ゴールドOAを追求）」の価値を確認
[2] Springer Nature’s 2022 OA Report
参考：OAファクトシート
転換契約（TA：Transformative Agreement）について
定義：転換契約では、参加機関が、ジャーナル購読型（閲覧）アクセスとオープンアクセス（OA）出版の費用（論文掲載料、APC：Article Processing Charge）を組み合わせられるようになっています。転換契約では、OAの費用と運営管理を行うだけでなく、著者に対して、資金提供者のOA要件を順守するための簡単な方法も示しています。
解説：転換契約のもとでは、購読型アクセスとOA出版が、機関コンソーシアム全体で、1つの購読・出版契約にまとめられます。すなわち、当該コンソーシアムの参加機関の研究者は、「ゴールド」オープンアクセスモデルにもとづいて出版ができるだけでなく、購読型ジャーナルの論文にもアクセスできることになります。シュプリンガーネイチャーは、ほかの出版社に先駆けて、このような契約をオランダのVSNU（Vereniging van Universiteiten；オランダ大学協会）と2014年に初めて締結しました。この契約により、参加機関にとっても、所属研究者にとっても、OAの運営管理が容易になりました。さらに、より広範な研究者たちが、研究の発見性の向上、引用回数の増加、OAコンテンツの利用増加といった恩恵を享受できるようになり、OA資金が不足しているという問題をかかえる一部の研究領域では、その解決にもつながります（APCの一元管理により、参加機関に属する研究者なら誰でも、学術分野に関係なくOA出版が可能になります）。転換契約ではまた、研究者に対して、資金提供者のOA要件を順守するための簡単な方法を示しています。
シュプリンガーネイチャーのOAおよびオープンリサーチに関する取り組みについては、OAファクトシートおよびオープンリサーチのページをご覧ください。
※ 本プレスリリースの原本（一部を除いて）は英語であり、日本語は参考翻訳です。
英語プレスリリース：Springer Nature’s latest Transformative Agreement an important step in global transition to OA
